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October 2007

2007.10.23

ぬる~い世界(2007.10.23)

この国のトップが代われど、庶民にとってはいまだに不況からの脱出の実感がない中、世の中にはぬる~い世界というものが存在するものです。

そう、それは「お役所」。

このたび、京都市の「市民オフィスモニター」なるものに任命され、市内に点在する京都市の事務所を回ってその実態をサービスの受益者である市民の視線から評価しようというもの。なんでも、政令市政都市では初の試みらしいです。

事前に指定された事務所を3人一組で訪れて、事務所としての業務の説明を受け、施設内を見学します。

長く民間のコスト削減の嵐を生き抜いてきた身には、そのアンビリーバブルな「ぬけ」ぶりには腰を抜かします。自分たちの「間抜け」ぶりがわからず、仕事内容を説明するのは50歳前後と思われるその事務所の所長。民間企業なら中間管理職を脱してそろそろ肩たたきにでもあおうかという年代です。ウチに帰ればまだまだカネのかかる子供の二人や三人はいるでしょう。

でも、大丈夫、公務員だから。定年までの身分と賃金の保証、たっぷりの退職金、うまくいけば、天下り先にもありつけるかも知れない(ここのところは、中央から地方まで同じ、腐れ公務員体質)。

ちょっと待て!あんたが退職するまで果たして京都市はぬくぬくとその身分を保証してくれるかな。猛スピードで高齢化が進む中、住民税の減収や健康保険料(これについては、ここで散々ぶーたれましたが)の未納などで財政がアップアップ状態。昨年からの職員による不祥事のオンパレードで、市民からは総スカンをくらい、市政はかなりダメージを受けているはず。

「この業務内容なら、民間委託すれば三分の一の人員で回せますよ」と提言しところ。「市も新規採用を絞って、職員数削減に取り組んでいます」だって。バブル崩壊以来民間企業が10年以上もそれをやっていたから、今技術継承者がいなくで現場が大混乱し、巷には非正規雇用のワーキングプアがあふれかえっているんやろ!「若者はなぜ3年で辞めるのか?」を読んでいないのか?

若者の雇用機会を奪っておいて、自分だけはぬくぬく定年まで生き抜こうとするその下卑た根性。

わかってるって、所長。それは、あんたの決めたことじゃないから知らないんでしょ。でも、それじゃ済まないのが普通の企業の論理なの。

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2007.10.08

なぜ「僕」は「パパ」を殺そうと決めたのか(2007.10.08)

草薙厚子氏著の「僕はパパを殺すことに決めた」を読みました。

去年の6月、自宅に火をつけて継母と弟、妹の3人を焼死させた奈良県の高校1年生を題材にした同著は、取材にあたって少年の精神鑑定医が調書を流出させたとして奈良地検の家宅捜査を受けたり、一部図書館で閲覧が制限されるなど、なにかと話題になりました。

事件の背景になった少年の家庭環境は、親族に医師や薬剤師など医療関係者が多く、犯行を犯した少年も生まれたときから医師になるように周囲(少なくとも父方の親族から)期待させていたとのこと。当世、2代目、3代目といえば政治家を連想しがちですが、医師もファミリービジネスとして脈々とその一族に受け継がれてきた家業のひとつのようです。

息子を医師にしようと熱心なあまり、幼い頃から暴力で自らの支配下に置き、勉強を強いてきた父親。彼は、配偶者と子供ふたりを同じく実子によって殺されてもなお、事件の背景にある問題点を正確には理解していないように思いました。すくなくとも、著者はそう思っています。

この父親もやはり子供のころから母親によって医師になるべく勉強を強要され、それが当然と思われていた成育環境で育ちました。

幼少時に虐待された子供は、自ら親になったときに自分の子供にも虐待を加える傾向にあることはよく知られていますが、「虐待」を「医師になるべく勉強」と置き換えれば、今回の事件にもあてはまるのではないでしょうか。もちろんその場合、そこには「この子のため」という古典的なエクスキューズが付け加えられますが。

確かに、日本の医師の社会的地位や生涯賃金の高さを考えた場合、「我が子のため」という思いは親としてはわからなくもないですが、それは、いわゆる家業を継がせたいという親の身勝手もあるのではないでしょうか。そのことで、子供の将来の選択肢を摘んでしまっていることに気づかず、あるいは気づいていてもあえて気づかないふりをして。

ところで、私が注目したのはこの少年の実の母親(両親は少年が4歳くらいのときに別居し、その後離婚。事件で焼死したのはその後父親が再婚した相手)の存在です。

実母も親族に医師が多い家庭環境で育ったのですが、自身は薬学系の大学を出て薬剤師の資格を取ります。大学卒業後就職することはなく、いまや希少価値の部類にはいる「家事手伝い」を経て少年の父親と見合い結婚をします。

同著には実母の供述調書も多く引用されているのですが、この中で彼女は結婚以前に相手の暴力的性癖や家族関係に不安を抱いていたと述べています。では、なぜ結婚を取りやめなかったか、あるいは早急に離婚に踏み込まなかったか。

供述調書で繰り返し述べられているのは、「自分は働いたこともなく、結婚を取りやめるのは体裁上できない」、「離婚してひとりで子供を育てるのは、不安だ」。よくある言い分かと思いますが、これこそ自分勝手でいわゆる「お嬢」の言い訳としか思えないのです。

現在、DV(ドメスティック・バイオレンス)に悩んでいる妻(とりわけ専業主婦)の多くが同じような不安を抱いていると想像します。しかし、離婚後に女親ひとりで子育てをしている人などたくさんいます。自分にはなぜ、それができないのか。不安だから。では、結婚生活を続けることで子供への影響は?そこまで考えようとしない、あるいは考えてもあえてアクションを起こさない。これは、子供へのネグレクトと同じではないでしょうか。

実母には父親との間に少年とその妹、ふたりの子供いたのですが、彼女は妹だけを引き取り育てます。後に警察の取調べで少年が涙を流してびっくりしたと告白しますが、離婚に際し実母は「少年とは二度と会わない」と父親に約束したということです。例え父親から強要された約束とは言え、それを知ったときの少年の絶望は想像に余りあります。

現在実母は研修医として某病院に勤務しているとのことですが、その人生の方向転換にもおどろきました。少年が事件を起こす前に医学部へ入り直し、くしくも焼死した少年の継母と同じ医師という職業を目指したということになります。その動機はどうあれ、その行動力をどうしてもっと早く発揮できなかったのか、そうすれば、結婚への抑止力にも離婚への実行力にもなったのではないかと思われてなりません。

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2007.10.03

格差社会のすきま(2007.10.03)

上司に贈ったお中元を机の下に放置され激怒した元アルバイ31男性従業員がオフィスのPC22台をたたき壊し、威力業務妨害で起訴されました

この男、31歳ということですが、今まで土木作業員など職を転々としてきたとのこと。年齢的に就職氷河期で正規雇用にあぶれた不安定低賃金労働に甘んじてきた団塊ジュニア世代のようです。

お中元はゼリーの詰め合わせだったとのことですが、この年齢の男が上司にお中元を、しかもお菓子の詰め合わせなどというお中元の王道を贈るかなあ、とふと疑問に思いました。

詳細はわからないのですが、弁護人の言うように本当にお世話になった上司への御礼の気持ちで贈ったのなら、イマドキの若いもんにはめずらしい古風なメンタリティの持ち主ではないでしょうか。

企業ではとうの昔に虚礼廃止とかで取りやめになった習慣も、上司と部下という企業社会ではいかんともしがたい間柄では細々と続いていることも理解できます。このあたり、年賀状なんかとちょっと似ていますね。

さて、このPC22台たたき壊したというのは、いったいどんな状況だったんでしょうか。就業時間中に職場に乱入して凶行に及んだのでしょうか。それとも、就業時間外にこっそり忍び込んで...。それによって、この男の心理状態が違うかと思うのですが。

この会社、ネット通販会社ということですから、就業中のオフィスであれば従業員も大勢いたことでしょう。そこでいきなり凶器(警棒)でPCをたたき壊すとなると、いわゆるキレた状態だった。心理学的に何と呼ぶのかわかりませんが、自制心の利かない状況だったんでしょう。

また、就業時間外にこっそりしのびこんで、ということなら、いわゆる嫌がらせ、起訴された罪状の通り「業務妨害」を意図したものだったのではないか、と考えられます。どちらかといえば、こちらの方が犯罪的には重罪なのではないかと思います、素人考えでは。

私はおそらく前者の状況だったと想像します。なぜなら、彼は自分がキレているのを上司に訴えたかったからです。「せっかく、俺が贈ったお中元を、あんたはほったらかしにしとんのか!」という具合に。

これも想像ですが、この上司はおそらく「わざと」お中元を誰の目にもつくように机の下に放置していたのではないのでしょうか、「お前のお中元なんか、俺にとっては足元にほったらかしにする程度のものなんじゃ!」という無言のアピールです。彼へのダメ出しのサインかも知れません。

事実はわかりませんがこの想像通りなら、なんか悲しい社会風景ですね。やっと安定した職に付けた一介のアルバイトが、その組織の最高権力者に公然と邪険にされる。吹けばとぶような紙切れのように。

カタチは違えど、おそらく日本中のあらゆる職場で繰り広げられているありふれた風景です。永田町や霞ヶ関では想像もできないでしょうが。

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